熱処理用途C/C材で「第27回芦原科学賞」の功労賞を受賞しました。

2020年03月03日

当社社員が、「第27回芦原科学賞」の「功労賞」を受賞しました。
同賞は、公益財団法人かがわ産業支援財団が、香川県内の産業技術の高度化及び産業の振興に寄与することを目的に、自然科学分野において優秀な研究成果をあげた個人や団体を顕彰する ものです。今回は、工業炉用途で新たなC/Cコンポジット製品(以下C/C材と略)を開発した成果が認められ、受賞に至りました。

今後もさらなる需要開拓を進め、お客様の信頼とニーズに一層応えてまいります。

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左より推薦者、森下 隆広(執行役員 グローバル開発本部長)、受賞者3名 、町野 洋(CC素材製造部 部長)、尾藤 信吾(CC素材製造部 マネージャー)、冨田 修平(CC素材製造部 グループリーダー)

■芦原科学功労賞を受賞した研究内容等■

[概要]

○テーマ  工業炉用途炭素繊維強化炭素複合材料の製品開発とそれによる事業拡大
○概 要  機械工具や金属製品を製造する際、機械特性を改善するために様々な熱処理が行われる。その際に使用する容器や治具を炭素繊維強化炭素複合材料※(以下「C/C材料」)を用いて開発した。    
※炭素繊維で強化された炭素の複合材料。強度・弾性が高く、耐熱性に優れている。
○受賞者  東洋炭素株式会社CC素材製造部

[研究の背景]

 工業炉用途で主に使用されている治具は金属製であるが、以下のような課題があった。
・質量が大きいため、昇温するために大きなエネルギーが必要であること
・繰り返し使用すると変形が生じるために、耐久性に問題があること
・ロボット等を用いた自動搬送システムへの適用が困難であること
また、C/C材料を工業炉用途へ展開する活動は以前から存在していたが、以下の理由で採用が非常に少なかった。
・機械装置メーカーがC/C材料を知る機会が少ないこと
・C/C材料に対する認知度が低いこと
・初期導入コストが高価であること
このようなことから、ユーザーの技術課題を明確にし、工業炉分野におけるメリットの高い製品の開発と実装につながる必要な基礎的データの更なる収集、熱処理工程用のC/C材料として新たな製品・技術の開発を行うこととした。

[研究開発した技術概要と成果]

(1)基礎的データの収集
①金属製治具とC/C材料製治具の比較
・質量は金属製治具の1/10の軽さ
・加熱する際に必要なエネルギー量も1/4以下
・使用寿命も金属製のものと比べ数倍

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(2)熱処理工程用のC/C材料として新たな製品・技術の開発
①熱処理用小物の開発
・金属熱処理時の小物の落下防止、吊り下げ用としてC/C材料製網を開発した。
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・金属パーツのロウ付け熱処理プロセスにおける固定治具としてC/C材料製スプリングを開発した。 img.202002ashihara4.jpg

②封孔処理技術の開発
冷却工程においてC/C材料製治具に冷却オイルの染み込みが問題として存在したため、治具の空隙に染み込むことが原因であったことから、空隙への封孔処理技術を開発した。 処理技術を施した新たなC/C材料では、染み込み量が従来の30%に低減できることを確認した。

[産業の振興]

・2012年にC/C材料の生産拡大のため工場を増設した。投資額20億円
  

[販売実績]

・工業炉分野の売り上げは特許出願(2013年)以降、約3倍に拡大した。

■関連資料:
第27回芦原科学賞受賞者を決定しました。(PDF 177KB)
当社の受賞者と研究内容等(PDF 492KB)

東洋炭素 製品情報:
製品サイト
熱処理用製品について
■関連リンク:
2015年03月13日【会社情報】「第22回芦原科学賞」の功労賞を受賞しました。

【本件に関するお問い合わせ先】 経営企画本部・広報 TEL:06-6472-5840