[半導体]結晶成長用部材
ウェハー処理用部材
[電子部品]電子部品製造用治具
21世紀の産業は、まず地球環境に配慮した事業体でなければならないと考えています。
C(炭素)は地球上にある元素の中でSi(シリコン)に次いで多く存在する元素ではありますが、資源は有限であり常に再利用を考えた事業展開を進めることが重要です。
また、製造工程上発生する廃棄物についても、まず廃棄物を出さない或いはどうすれば廃棄物を少なくできるかを念頭に置いた製造技術、研究開発を進めています。
当社では環境安全担当部門により、各部門から発生する廃棄物の量、削減対策をウォッチングし、地球環境維持をはかると共に、研究開発では、黒鉛廃棄物の有効利用を考えた開発テーマにも取り組んでおり、全社員の環境維持への意識の高揚に努めています。
地球環境にやさしい企業を目指し、日々企業活動に取り組むことが当社の経営理念です。
環境マネジメントシステム組織体制
東洋炭素グループでは、マテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの両面での開発を通して、3R(*1)を目的とした廃棄物発生量の削減と再資源化を推進し、循環型社会の実現に向けた技術テーマに積極的に取り組んでおります。
これまで培ったカーボン製造の技術的ノウハウと異業種間でのコラボレーションを推進し、水素活用を核としたクリーンエネルギー社会
の実現も目指しています。
(*1) 3R:リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)のこと
当社では、限りある資源を最大限に活用する「循環型モノづくり」を目指しており、現在社内で廃棄されているカーボン材料を適切に処理し、資源として循環させるためのプロセス技術開発を進めています。
開発部門では再資源化に必要な処理方法や最終製品の特性に影響を与えるキーファクターの抽出を行っており、新しいリサイクルの工法や製品化に挑戦しています。
早期にこのプロセス技術を確立させ、資源循環型社会の実現に貢献していきます。
廃棄黒鉛材を原料に用いた
リサイクル黒鉛材の試作品
偏光顕微鏡の観察結果
廃水処理は水資源に関わる重要課題の一つであり、環境負荷低減に直結するテーマです。当社は2017年より東洋大学とのオープンイノベーションを実施しており、当社黒鉛材料を廃水処理用の微生物保持担体として使用した廃水処理システムの研究・開発を行っています。
これまでの研究にて、黒鉛には生物活性発現効果があり、アナモックス細菌(低コストな廃水処理が期待されている細菌)を用いた廃水処理では、従来担体と比較して3倍以上の高速処理が可能であることが報告されています。また、コストにおいても従来比1/10以下になると試算されており、現在は水処理メーカー、エンドユーザーと実装に向けた開発が進んでいます。
今後も水資源に関わる課題解決に取り組み、世界の水環境問題に貢献していきます。
電力を使わない廃水処理技術システム
水処理生物学会発表(2019)東洋大学 角野教授提供
CO₂の排出削減が喫緊の課題となっている現在、CO₂の排出自体を低減させる技術に加えて、大気や排ガス中に含まれるCO₂を固定化する技術へのニーズが高まっています。さらにCO₂の有効利用という観点では、燃料や化学品への転換・合成技術が検討されており、一部は実用化されています。
当社では、産業技術総合研究所と共同し、これらの合成原料を炭素材料の原料として使用する可能性を探索しており、カーボンニュートラル実現に向けた炭素固定化技術の基礎研究を行っています。現在は低分子量の種々の炭素化合物を原料に、触媒存在下での熱分解反応を利用して、微粉末状の固体炭素を生成するプロセス条件を検討しています。
今後もカーボンニュートラルの実現に関わる課題解決に取り組み、世界の気候変動問題に貢献していきます。
炭化水素から合成された
炭素材料の電子顕微鏡写真
当社は、お客さまのニーズに寄り添い、広く社会・環境課題の解決は勿論、その先進的なご要望に、迅速かつ真摯にお応えすべく、弛まぬ技術革新と、それを用いた魅力ある製品と技術サービスの提供により、持続可能な社会の発展に貢献して参ります。
[半導体]結晶成長用部材
ウェハー処理用部材
[電子部品]電子部品製造用治具
[発電]発電用アース用ブラシ
太陽光発電製造用部材
次世代原子力発電炉心材
[燃料電池]触媒担体
[電車]パンタグラフ用すり板
[航空機]エンジンパーツ製造
(放電加工電極,熱処理用治具)
[自動車]燃料ポンプ用カーボンブラシ
ガスケット
[通信]光ファイバー製造用部材
ケーブル製造用部材
[一般産業用]パッキン
シールリング軸受
[医療]CT装置ターゲット材
分析カラム充填材
[家電]LED製造用部材
クリーナー用カーボンブラシ
コンプレッサー用部品
当社における環境マネジメントシステムISO14001は、経営マネジメントシステムの一つとしてその他の事業プロセスと統合・協業し、環境負荷低減をはじめとして消費エネルギーを抑制しサステナブルな社会の実現に貢献します。
環境マネジメントシステムISO14001の認証においては、国内事業拠点および海外現地法人含め、2020年時点において、6拠点で認証取得に至っております。
ISO14001:認証取得、累積件数推移
当社は、気候変動が将来にわたって社会に影響を及ぼす重大な課題であると認識し、CO₂等の温室効果ガス排出削減に向けた、製造工程におけるエネルギー使用の効率化・省力化等に取り組むなど、全社員が環境維持への意識高揚に努めています。
また、環境マネジメントに関する国際規格「ISO14001」の基本的な考え方をベースに、各国の各種環境法令・規制を遵守するとともに、産廃物削減による省資源活動や、環境汚染物質の管理を徹底しています。
世界の気候変動問題への取り組みが加速する中、当社は、温室効果ガス排出量について、2050年にカーボンニュートラルの実現に向けて今後の取り組みをより一層強化・加速してまいります。
なお、Scope1,Scope2、Scope3については、現在GHGプロトコルに準拠した算定を進めております。
当社は、現在、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言への賛同署名を行っており、TCFDが提言する開示フレームワーク(気候関連のリスク及び機会に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿った情報開示に向けて準備を進めております。
サステナビリティ推進委員会の支援プロジェクトとしてTCFD対応プロジェクトを設置し、気候変動対応に関するシナリオ分析、リスク機会の分析、対応策の策定等を行い、その内容はサステナビリティ推進委員会に報告されます。
サステナビリティ推進委員会で行われた審議は、取締役会に報告され承認・指示されます。
取締役会で報告、承認・指示されたサステナビリティに関する議案は、サステナビリティ推進委員会を通じて当社の各事業部門、及びグループ各社に伝達され、それぞれの経営計画・事業運営に反映されます。また、その内容によっては取引先にも協力を要請しています。
サステナビリティ推進委員会体制図
TCFDが推奨するガイダンスに則り、2040年までの事業環境をシナリオ分析の手法を活用し、気候変動が当社に与える影響を分析・評価しています。
対象範囲 | グループ連結対象企業 |
---|---|
想定期間 | 現在~2040年(CO₂削減目標は、2050年) |
シナリオ構築 | 1.【1.5℃シナリオ】 地球の平均気温を産業革命以前の水準から1.5℃以内に抑えるシナリオ 参照情報 IEA WEO2020 SDSシナリオ IPCC 第6次評価報告書 第1作業部会報告書より SSP1-1.9,2.6 その他 2.【4℃シナリオ】 地球の平均気温の上昇を産業革命以前の水準から4℃程度上昇するシナリオ 参照情報 IEA WEO2020 STEPSシナリオ IPCC第6次評価報告書 第1作業部会報告書より SSP2-4.5、SSP3-7.9、SSP5-8.5 A-PLAT S8 気候 RCP8.5 その他 |
WEO:IEAが発刊する世界エネルギー見通しWorld Energy Outlook 2020
IPCC:気候変動に関する政府間パネルIntergovernmental Panel on Climate Change
A-PLAT:気候変動適応情報プラットフォームClimate Change Adaptation Information Platform
気候変動に関連したリスクと機会をより具体的に明らかにするために、1.5℃シナリオ及び4℃シナリオ下における事業環境の変化を想定し、発生する可能性のあるリスクと機会を抽出しました。
その中でも当社の経営に大きく影響を及ぼす可能性があると推測されるものが次表となります。
シナリオ分析からは、当社の事業は、気候変動に関連した社会変化、市場変化に部分的に影響を受ける反面、再生可能エネルギー関連製品の市場拡大など事業機会も大きいことが分かりました。
当社では、経営の持続可能性と発展のためには、今後の事業環境を見極めつつ迅速な対応を行っていく必要があると評価しています。
対応については、現在、検討を進めている段階です。
主なリスク | 出現時期 | |
---|---|---|
政策・規制 | 厳しい温室効果ガス排出抑制基準が設けられ、排出削減のための投資や技術改善が必要となる。 | 短~長期 |
市場/顧客の変化 | 自動車のEV化によるエンジン関連の製品需要が減少する。 | 中~長期 |
次世代太陽光発電パネルの広がりにより、製品の需要が減少する。 | 長期 | |
同業他社等、 業界の変化 |
環境に配慮した生産体制の見直しによって、競合他社との競争が激化する。 | 中~長期 |
調達 | 原材料(コークス ・ピッチ)の需給バランスの崩れにより、価格が高騰する可能性がある。 | 短~長期 |
炭素税の導入や環境に適応した調達品の価格が高騰する可能性がある。 | 短~長期 | |
製造 | 自然災害の激甚化により、操業停止などによるコスト増加の可能性がある。 | 中~長期 |
環境対応のため求められる製造プロセス改善のコストが増加する。 | 中~長期 |
主な機会 | 出現時期 | |
---|---|---|
政策 ・ 規制 | 再生可能なエネルギーなどの環境に関連する製品の需要が増加する可能性がある。 | 中~長期 |
市場/顧客の変化 | 自動車のEVシフトにより、パワー半導体関連など、黒鉛部材の需要が増加する。 | 中~長期 |
風力発電の需要増により、給電・アース用ブラシの需要が増える。 | 中~長期 | |
CO₂排出量削減にともない原子力用途の黒鉛需要が増加する可能性がある。 | 中~長期 |
当社グループは、「リスク・コンプライアンス基本規程」に基づき、法令・定款および企業倫理の遵守とリスク管理体制の確立のため、これらを統括する組織としてリスク・コンプライアンス委員会(以下RC委員会)を設置し、リスク・コンプラアインス上、重要な課題について審議し、方針を決議しています。個別のリスクについては、主幹部署が管理・対応を行い、RC委員会がこれらを統括しています。
気候関連のリスク項目は、サステナビリティ推進委員会で管理されるとともに全社のリスクマネジメントの一貫として、RC委員会において評価・検討を行い、取締役会に報告されます。
東洋炭素では温室効果ガス排出量について、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて取り組みを進めています。
Scope1+Scope2における過去の温室効果ガス排出量については、GHGプロトコルに準拠し算定を行いました。今後、Scope3の温室効果ガス排出量の把握と開示を行うべく準備を進めています。尚、温室効果ガス排出量削減の目標は現在検討中です。
温室効果ガス排出量グラフ(Scope1+Scope2:単体)
リスクや事業機会の管理に必要な指標、目標値は、それぞれのリスクや機会への対応策を策定後に決定します。
グローバルな特定化学物質規制への適切な対応が求められる中、当社では環境管理部門の主導により、関連法規制の最新情報の収集・整理・モニタリングを行い、対象製品における適切な対応を図るとともに製品に含有する化学物質の確実な管理と適切な情報伝達により、人の健康と地球環境にもたらすリスクを最小化することを目指しています。